実は品種改良された
水産物はごくわずか。

現在食卓にのぼる野菜や肉はそのほとんどが時間をかけて品種改良されたもの。
しかし魚など水産物では、「近大マダイ」といったごく限られたものしか流通していません。いままで養殖技術に注力してきたこともあり、品種改良が遅れていたのです。いま漁獲量の減少などの問題もあり、品種改良にはスピードが求められています。

水産物以外の多くの食べ物は、品種改良されたもの
品種改良が遅れている水産物

ゲノム編集で、30年かかる
品種改良を2年で。

現状の品種改良は「選抜育種法」と呼ばれ、突然変異によって生まれた優良形質を持った個体を選び出し、これを掛け合わせて行います。
その突然変異を誘発するために放射線照射や薬品投与等も行われていますが、それでも多大な時間と労力を必要とします。
しかしゲノム編集技術を用いれば、わずか2年で一つの品種を作り出すことができます。

選抜育種法とゲノム編集育種

ゲノム編集技術とは
自然の進化を
先取りする技術。

私たちが行うゲノム編集技術は「欠失型」。狙った遺伝子をピンポイントで切ることによって、その機能を失わせる手法をとっています。この手法は外来遺伝子を導入しないため、生まれた品種は本来自然界に生まれる品種と言えるのです。
実際、マダイの天然魚における遺伝子個体差は約750万箇所存在しているため、遺伝子1箇所の違いは、自然界で十分起こり得る「進化」。つまり自然に起こり得る進化を意図的に起こす「品種改良」技術として位置づけられるのです。

遺伝子組み換えと欠失型ゲノム編集
マダイにおける、ゲノム編集と天然魚の変異

ゲノム編集技術の
安全性について。

私たちのゲノム編集技術は、狙った遺伝子のみをピンポイントで欠失させられるため、どの遺伝子に影響が出るかわからない従来型の品種改良に比べて、安全です。実際、狙った遺伝子以外の遺伝子に変化がないか(オフターゲット)を確認したところ、天然との差は見られませんでした。さらにゲノム編集品種におけるアレルゲン解析およびゲノム編集ツールの残存性確認を実施したところ、問題なしとの結果が得られています。

マダイのオフターゲット分析
マダイゲノムに対して、ゲノム編集標的配列と類似配列をピックアップし、全ゲノム解析とPCR解析を行ったところ、オフターゲット変異はありませんでした。
マダイゲノム編集におけるアレルゲン解析
FAO・WHOの推奨する方法に基づきアレルゲン解析を実施した
ところ、アレルゲンは検出されませんでした。
ゲノム編集ツールの残存性確認
次世代シーケンサーを用いてゲノム編集ツールの残存性を確認
したところ、ツールの残存は確認されませんでした。

スマート陸上養殖について