ゲノム編集技術について

  • Q「ゲノム編集技術」とはどのような技術ですか。

    A

    ゲノム編集技術は、人にとって有用な性質、例えば、成長が早い、美味しいといったような特徴に関わる遺伝子をピンポイントで変化させることによって、品種改良を効率的に進める技術です。これまでの品種改良では、遺伝子をピンポイントで変化させる技術がなかったため、目的とする特徴を持つ品種を作るために、とても長い時間と労力がかかっていました。

    しかし、ゲノム編集技術の登場により、特定の遺伝子にピンポイントで変化を起こすことが可能となり、優れた性質を備えた農作物や水産物を効率的に作ることが可能になりました。そのため、ゲノム編集技術は、これからの品種改良技術として、世界的にも期待されています。

    なお、ゲノム編集技術の詳細については、農林水産省のYouTubeチャンネルにわかりやすい動画が掲載されていますのでご覧ください。

  • QDNA・ゲノム・遺伝子の意味や違いを教えてください。

    A

    すべての生物の細胞の中には「DNA」という物質があります。DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の物質がつながってできていて、そのATGCの並び方によって遺伝情報が記録・保持されています。この全ての情報を「ゲノム」と呼び、ゲノムの中でも生物の性質(姿形など)を決める部分を「遺伝子」と呼びます。

    なお、DNA・ゲノム・遺伝子の違いの詳細については、厚生労働省のHPに掲載されているパンフレット「新しいバイオテクノロジーで作られた食品について」の「2.DNAとゲノムと遺伝子」をご覧ください。

  • Qこれまでの品種改良ではなく、ゲノム編集技術を活用した品種改良を行う必要があるのでしょうか。

    A

    ゲノム編集技術を活用する最大の理由は、これまで長い時間と労力が必要であった品種改良のスピードアップです。

    1万2千年ほど前から品種改良が始まったといわれる農産物や畜産物では、人にとって有用な性質、例えば、成長が早い、美味しい、高収量などの特徴を持つ個体を見つけ、異なる品種を掛け合わせてより良い性質を持つ品種を作る「選抜育種」を繰り返してきました。その結果、各国で優れた改良品種が数多く作られ、現在、世界の食料生産はそのほどんどが品種改良された食材によって支えられています。

    しかし、従来の選抜育種による品種改良では、一つの品種を作るのに数十年かかることが大きな課題でした。目的の性質を持つ個体を見つけ出し、その性質を受け継がせるために、何度も交配や選抜を繰り返すことが必要だからです。そこで、遺伝子にピンポイントで変異を起こすことにより、目的の性質を持つ個体を2-3年程度で獲得できるゲノム編集技術が注目されています。

    現在、地球温暖化の進行や頻発する異常気象、世界的な畜産物や水産物の需要拡大が食料の安定的確保にとって大きなリスクになっていますが、これらの環境の変化に対応した品種をいち早く作るためにもゲノム編集技術は今後重要になってくる技術だと考えています。

    なお、これまでの品種改良の歴史については、農林水産省のHPに掲載されているリーフレット「ゲノム編集~新しい育種技術~」の「①農作物が作られてきた歴史」と「②品種改良は遺伝子の変化を利用」をご覧ください。

  • Qリージョナルフィッシュは、なぜゲノム編集技術を活用した水産物の品種改良に取り組んでいるのですか。

    A

    農産物や畜産物の品種改良は1万2千年もの長い歴史がありますが、水産物の品種改良の歴史は浅く、まだほとんど進んでいません。

    その理由は、現在の品種改良技術では新品種の開発に数十年かかる一方で、水産物の品種改良に必要な完全養殖(子どもから親まで育てて、その親が産んだ卵を再び親にすること)」という技術が登場してから、まだ50年余りしか経っていないからです。

    このような状況の中で、京都大学と近畿大学は、共同研究によってゲノム編集技術を活用した水産物の品種改良(可食部が多いマダイ)に成功しました。ゲノム編集技術は品種改良を短い期間で行うことを可能にし、成長性や美味しさの向上といった優れた水産物を作ることへの貢献が大いに期待されることから、弊社は、両大学とも協力しながら水産物の品種改良に取り組んでいます。

  • Qゲノム編集技術と遺伝子組換えの違いを教えてください。

    A

    遺伝子組換え技術は、目的の性質を持つ遺伝子を他の生物から導入し、その遺伝子の働きを利用して新たな性質をもたらす品種改良技術です。例えば「青いバラ」は、遺伝子組換え技術によって、本来バラが持っていない青い色素を作り出す遺伝子をパンジー(他の生物)から取り出し、導入することによって実現しています。

    一方、ゲノム編集技術は、その生物が元々持つ遺伝子の働きを人為的に調整することにより、新たな性質を獲得する品種改良技術です。例えば「GABA高蓄積トマト」は、ゲノム編集技術によってトマトが元々持っているGABAの生成に関わる遺伝子の働きをピンポイントで調節し、GABAの含有量を高めることで作出されました。

    このようにゲノム編集技術と遺伝子組換え技術では、元々持っている遺伝子に突然変異を起こす(自然界で発生しうるもの)か、目的の性質を持つ遺伝子を他の生物から導入する(自然界で発生しないもの)かが大きな違いです。

    なお、より詳細に知りたい場合は、農林水産省のHPに掲載されているリーフレット「ゲノム編集~新しい育種技術~」の「⑤ゲノム編集と遺伝子組換え」をご覧ください。

  • Qゲノム編集の原理を教えてください。

    A

    ゲノム編集技術の基本は、生物が持つゲノムの中の特定の場所を切断することです。生物には切れた場所を元どおりに直す仕組みがありますが、稀に修復ミスで突然変異が起こります。ゲノム編集技術では、この現象を利用して目的とする性質の遺伝子をピンポイントで切断します。「ピンポイントで狙った変異を起こすことができる」のが、自然に起きる突然変異やこれまでの人為的な突然変異とは異なる点です。

    なお、遺伝子を切断するハサミのような役割を持つ人工酵素の代表例である「クリスパー・キャス9」は、遺伝子のピンポイントな調節を可能にしたことが評価され、2012年にノーベル化学賞を受賞しました。

    ゲノム編集技術の原理と特徴については、農林水産省のHPに掲載されているリーフレット「ゲノム編集~新しい育種技術~」の「③ゲノム編集技術の原理と特徴」をご覧ください。

  • Qゲノム編集技術を活用して品種改良した例として、どのような水産物が実用化されている のですか。

    A

    弊社では、ゲノム編集技術を活用した可食部の割合を増やした肉付きの良いマダイと飼料の利用効率を向上させた高成長なトラフグを開発し、厚生労働省等による安全性確認の手続を完了し、2021年より提供しています。

    また、他にも様々なニーズに応じた水産物の品種改良に取り組んでおり、美味しさの向上した品種や水温変化に耐性のある品種などの開発を進め、日本の水産業の発展に貢献したいと考えています。

  • Qゲノム編集技術を活用した水産物の品種改良は、一般の消費者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

    A

    現時点で実用化済みの品種改良した水産物のメリットとしては、「飼料の利用効率の向上」が挙げられます。従来品種と比べると飼料の使用量を1-4割程度低減できる品種の登場は、家畜や養殖魚などへの飼料の安定供給が世界的な課題となる中で、持続可能な水産業の実現、ひいては、消費者への水産物の安定供給につながると考えています。

    なお、飼料の使用量の低減は生産コストを大きく低減することにつながります。生産コストの低減は、養殖事業者の事業採算性の向上だけではなく、販売価格の値上げを抑える効果も期待できます。また、今後、栄養素が多く含まれる水産物や食味が良い水産物、低アレルギーの水産物などが実用化されれば、消費者にとって大きなメリットになると考えています。

食品としての安全性などについて

  • Qゲノム編集で利用する人工酵素が魚の体内に残ることはないのでしょうか。

    A

    ゲノム編集で利用する人工酵素は、目的とする遺伝子に作用した後に細胞内で分解されるため、魚の体内に残ることはありません。また、弊社が提供する水産物は、人工酵素を作用させた魚(親世代)ではなく、その子孫を利用しています。そのため、人工酵素は魚の体内には含まれません。

  • Qゲノム編集で利用する人工酵素が目的以外の遺伝子に偶発的な変化(オフターゲット変異)を与えてしまうことはないのでしょうか。

    A

    ゲノム編集は目的とする遺伝子の塩基配列(A、T、G、Cの並び方)を認識して作用します。そのため、目的以外の配列を持つ遺伝子に作用してしまう確率は低い技術です。しかし弊社では万が一、目的以外の遺伝子に変化が起きた場合に備え、本来目的とする配列と似た配列の有無を調べ、似た配列がある場合にはその配列に変異がないか、生体の組成が想定外の変化を起こしていないかについて確認しています。

    また、水産物を流通させる前には、厚生労働省が定めた通知「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領」に従って、科学的データを国に提出する事前相談及び届出を行い、食品安全上の問題の有無を確認いただいています。

  • Qゲノム編集技術を用いて遺伝子の働きを調整することによる魚への影響は確認しているのでしょうか。

    A

    弊社はゲノム編集のターゲットとなる遺伝子を、これまで公表されている研究論文などを参照し、該当遺伝子の働きを調整した場合の影響を精査した上で決定しています。例えば、可食部増量の性質については、マダイを始めとする他の魚種でも遺伝子の機能を調整したときの効果や変化に関する研究論文が公表されていて、魚に対する悪影響の有無について確認されています。

    また、新品種の開発時には、魚の状態をよく観察し、健やかに成長する個体を選抜して品種改良を進めています。

  • Qゲノム編集技術を用いて品種改良した水産物の食品としての安全性はどのように確認されているのでしょうか。

    A

    ゲノム編集技術を用いて品種改良した水産物の食品としての安全性は、まず弊社にて、目的以外の遺伝子に偶発的な変異が起きていないか、アレルギーの原因になり得る物質が新たに生成されていないか、食品として想定外の変化が起きていないかなどを確認します。

    安全上の問題がないことを確認した後、厚生労働省が定めた通知「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領」に従って、科学的データを添えて厚生労働省に事前相談を申請します。厚生労働省は専門家の意見を聴きながら食品安全上の問題がないかどうかを確認し、問題がないと判断された場合はその旨の連絡があり、弊社からこの通知が定めた様式を届け出てゲノム編集食品としての手続が完了します。

    なお、この届出手続が完了したゲノム編集食品は、厚生労働省のHPで「公開届出情報一覧」にて公表されています。

  • Qゲノム編集技術は、日本以外の国でも利用されているのですか、海外の状況を教えてください。

    A

    米国、カナダ、オーストラリアなどの諸外国でもゲノム編集技術の可能性が注目されており、ゲノム編集技術を活用した品種改良が進められ、商用化が開始しています。

    例えば、米国では、オレイン酸(悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールは減少させない脂肪酸)を多く含む大豆や、辛みが少なく栄養素の多いリーフ野菜、暑さへの耐性が高いウシなどが開発されています。なお、EUではゲノム編集食品の流通は始まっていませんが、ゲノム編集技術の将来性を考慮し、市場化に関するルール作りが進められています。

  • Q食品として流通する場合、ゲノム編集食品であることがわかるように表示されているのでしょうか。

    A

    弊社の商品は、ゲノム編集食品であることをパッケージに記載しています。具体的には、以下のように、食品としての表示項目(食品表示法が求める商品名、消費期限、原材料名など)に加えて、ゲノム編集技術を活用した品種であることがわかる表示をしています。

  • Q陸上養殖施設からゲノム編集技術を用いて品種改良した養殖魚が海や川に流れ出てしまうことはないのですか。

    A

    陸上養殖施設では、施設の外に養殖魚が逃れ出ていかないように、拡散防止措置を徹底しています。具体的には、水槽の中には筒状の逃亡防止用ネットを設置し、水槽からの水が流れる排水溝にも逃避防止用ネットを二重に設置しています。また、拡散防止措置に異常がないかの点検・管理を実施しています。

  • Q万が一、ゲノム編集技術を用いて品種改良した養殖魚が養殖施設から海や川に逃げてしまった場合、野生種や従来品種を打ち負かして生態系に影響を与えるなどの問題を引き起こすことはありませんか。

    A

    ゲノム編集技術による遺伝的な変異は、自然に起こり得る範囲であるため、在来品種との競合における優位性はありません。また、改良が進んだ品種は、養殖施設内など人が整備した環境の下では能力を発揮しますが、自然環境の下では能力を十分に発揮できず生存すら難しくなります。生物多様性への影響については、農林水産省が定めた通知「農林水産分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の生物多様性影響に関する情報提供等の具体的な手続について」に従って情報提供を行い、農林水産省は、専門家の意見を聴きながら、影響の有無を確認し、その結果を公表しています。

    詳しくは農林水産省のホームページ「ゲノム編集技術の利用により得られた生物の情報提供の手続」の後段に掲載されている「情報提供書が提出された農林水産物の一覧」をご覧ください。

  • Qリージョナルフィッシュは、ゲノム編集技術の活用について、消費者をはじめとした関係者にどのように説明、あるいは情報発信していますか。

    A

    弊社はゲノム編集という新しい技術の仕組みや食品としての安全性について、皆様に理解していただけるよう、HPやメディアを通じた情報提供、さらに、全国各地で自治体や行政と連携しながら勉強会や意見交換会を実施しています。今後もわかりやすい情報提供や情報発信に取り組むことで、理解の促進に努めていきます。

弊社の取り組みについて

  • Qリージョナルフィッシュは、ゲノム編集技術を用いて品種改良した水産物をどのように生産・販売しているのでしょうか。

    A

    弊社の養殖施設で生産し、衛生的な施設で調理・加工した上で、2021年より自社ECサイトで販売を開始しています。その後、京大生協の食堂での提供、百貨店などの催事での店頭販売などでも提供し、いずれも好評を博しています。

    また、2023年7月には、NTTグループとともにNTTグリーン&フード株式会社を設立しており、今後同社の養殖施設にて品種改良した水産物の生産・販売をすることで、各地で持続可能な養殖業に取り組んでいく予定です。

  • Qリージョナルフィッシュは、なぜ陸上で養殖しているのでしょうか。

    A

    陸上養殖施設の建設や維持管理にはかなりのコストがかかりますが、生け簀を使って海上で養殖する海面養殖と比べると、水温や水質の調整(環境の制御)や疾病対策が容易で、魚にとってより快適な環境を整えることができます。

    また、弊社は、各種センサーとAI技術に加えて自動給餌機等の機器を用いた「スマート養殖」に取り組んでおり、陸上養殖施設における高い生産性を実現しています。

  • Q水産物の生産において、アニマルウェルフェア(動物福祉)を配慮していますか。

    A

    動物の衛生などに関する国際機関である「国際獣疫事務局(OIE)」が提唱する「アニマルウェルフェアに関する基本的な考え方」や農林水産省が公表している「アニマルウェルフェアに配慮した養殖業」などを参考にして、日頃より水産物の健康状態などをよく観察しながら、魚にとっての快適性に配慮した飼育環境と飼養管理を実践しています。具体的には日々の清掃や消毒を徹底し、疾病の発生を未然に防ぐとともに、魚にとって快適な水温と水質の管理などにも配慮しています。

  • Q「スマート養殖」とは、何でしょうか。また、どのような効果があるのでしょうか。

    A

    「スマート養殖」とは、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を活用して、養殖環境や魚の状態に関する情報を収集し適切な管理を実現する、養殖の新しい形です。弊社は、高い技術力を持つIT企業と連携して独自の飼養管理体系を作っています。

    具体的には、各種センサーを用いて自動的に収集した水温や溶存酸素量などの水環境や魚の発育状況をAI技術で解析し、給餌量を最適化します。その結果、食べ残しを減らして飼料コストを低減するとともに、魚にとって快適な水環境を保つことができます。

  • Q陸上養殖施設からはどのような排水が出るのでしょうか、海洋環境を汚すことはありませんか。

    A

    弊社の陸上養殖施設では、日頃より無駄な給餌によって水質を汚さないことに留意しており、環境基準をクリアした水を場外へ排出しています。したがって、養殖施設からの排水によって、海洋環境を汚すことはありません。

  • Q魚の養殖では色々な薬を使っていると聞いていますが、リージョナルフィッシュの水産物は大丈夫なのでしょうか。

    A

    養殖では疾病対策として、ワクチンを始めとする動物用医薬品が用いられます。弊社も必要に応じて医薬品を使用しますが、関連法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で決められた使用方法を遵守し、食品としての安全性に問題が生じない範囲で利用しています。

  • Qリージョナルフィッシュは、ゲノム編集技術を用いて品種改良した水産物を海面で養殖していないのでしょうか。

    A

    弊社は環境制御された陸上養殖施設を軸に事業展開しており、ゲノム編集技術を用いて品種改良した水産物は全て陸上養殖施設で生産しています。

  • Q購入した水産物で問題があった場合、どこに問い合わせたら良いのでしょうか。

    A

    もしご購入された水産物に問題があった場合は、ご購入の店舗に連絡していただくか、商品のラベルに記載の弊社の「お客様相談室」にお問い合わせください。なお、問題を正確に調べさせていただくため、恐れ入りますが、問題があった商品とその容器をお取り置きの上、お問い合わせください。

  • Q養殖施設を見学させてもらうことはできますか。

    A

    弊社ではゲノム編集技術を用いて品種改良した水産物だけでなく、従来品種も養殖していますが、いずれにつきましても、現場作業を行う上での安全の確保、また、疾病が養殖場内に侵入するリスクを避けるため、養殖施設の見学は原則としてお断りさせていただいています。ただし、弊社の水産物の取扱いを検討されている事業者や都道府県を始めとする公的機関などにつきましては、この限りではございませんので、個別にお問い合わせください。

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